依頼者さんの為に働くんだ
今日の現場は、取り壊すお宅の家財道具の運び出しで、引越し気分だと思っていた。
しかし、実際作業をしてみると、依頼者さんの家の中をまじまじと見ることになり、写真や年賀状、手紙、着物などを運びながら苦しくなった。
あつらえた大切な一張羅も、思い出も全て泥の中。「全部処分」と言われたのもショックだっ た。
休憩の時に祈った。私たちの目的は依頼者さんの夢の実現のお手伝い。依頼者さんはきっと、既に色々な思いを通過して、今日の処分、家の取り壊しに至ったのだ。
自分の主観で見ると苦しいが、“依頼者さんの為に働くんだ”と思い直したら、気持ちも軽くなった。
作業を終えて、きれいさっぱりになった家を見て、依頼者さんはお礼を言って下さった。複雑な心情もあるだろうが、これから新しく出発する手助けを出来たならば嬉しい。
5日経って、もう石巻が自分の親戚の住む所のように思えてきた。花火大会やお花見、釣りなど、復興して元気になった石巻に絶対戻って来たい。
鈴木智子(千葉西教会所属)