今月活動していた時に、現地の方からお話を聞きました。
その人が住む地域は、東日本大震災の時に津波で被災したのですが、ボランティアの支援によって無事に町の機能が回復した地域でした。
「震災後の最初半年間は必死だったから、自分が生き残ることにしか意識が向かなかったですよ。
年末(2011年の末)になってやっと、一息つける気持ちの余裕ができたんです。でも、いざ時間の余裕ができてみると、この時間をどう使おうかな〜って考えましたね。最初は、震災後にやれてなかった趣味を再開しようと思ったんだけど、被災地で頑張り続けるボランティアさんたちの姿を見ると申し訳なくなって、趣味に打ち込めなかったんですよ...」
この頃はまだ、ボランティアさんたちが毎日のように来ては、一生懸命に作業していたようです。
「私自身もボランティアさんに助けられた立場なので、今度は逆に、私がボランティアさんを助けたいと思ったんですよ。でも、私は仕事をしているので、昼間に一緒に活動することはできないので、どうしようか考えましたね...。(中略)
それで最終的には、ボランティアさんを自宅に泊めてあげることにしたんですよ。幸い空いてる部屋はあったので。食事も一人分だけ作っていたものを二人分作ればいいだけだから、時間的にはたいした負担にならない。」
この方の自宅は、当時のボランティアさんたちの作業現場の近くであり、更にボランティアさんたちの宿所はあまり良くなかったので、“ちょうどいいだろう”ということで、すぐに行動に移したようです。
「今まで趣味に使っていた時間とお金を、使わずにとっておくことにしました。そして、ボランティアさんが訪ねて来る時や泊りに来る時に、とっておいた時間とお金を使うんですよ。そうすれば、今までの生活に比べても自分にかかる負担が増えずに済みます。趣味に使ってた時間とお金を他のことに使うようにしただけなんです。」
最初は1人、2人を泊めてあげるところから始まり、10人になり、50人になり、100人になり...
「1人残らず数えましたよ。次はいつ会えるか分からないから、できるだけ記念写真も撮るようにして...気付いたら、500人を超えていたんですよ。
もちろん、いろんな人がいましたね。明るい人や暗い人、おしゃべり好きの人もいれば口数の少ない人もいる、優しそうな人もいれば怖そうな人もいる。でも、一人一人と会って、よ〜く話してみれば、誰一人として悪い人はいませんでしたよ...それが、私の結論です。」
お話を聞きながら驚いた旨を伝えると、別に特別なことはしていないんだと、繰り返し言われてました。
「こういう話をすると、“よくできますね〜”とか、“すごいですね〜”と言われるんですが、別にたいしたことはないんですよ。元々の趣味をやめて、こういうことを趣味にしただけなので。自分にかかる負担は増えてないんですよ。
それに今では、この500人との思い出が、私にとっての宝物になったので、逆に彼らには感謝しているんです。」
この方は、「これからもボランティアさんたちを支える活動を続けたい」と言われてました。
私はこの方と接しながら、充実した日々を過ごしてる様子が伝わってきました。また、人助けをして相手が喜んでる姿を見るのが、御自身の喜びになっているのが伝わってきました。それはまるで、親心のようだと感じました。 “他人に対しても親心を持って接すること”の素晴らしさを、この方から学びました。