現地のお母さん 『自宅から三原山を見ると、所々山が削れていて驚いたのよ』 伊豆大島でボランティア活動をした時に、現地のお母さんから話を聞きました。
――――【 以下、お母さんの話 】――――
あの日、10/15〜16にかけての深夜、私の寝室は土砂が来て、家の壁が壊れ、室内は土砂で一杯になっちゃったの。だから、本当だったら私は今、ここじゃなくてあの世にいるはずの人なのよ。じゃあ、なぜ私があの世じゃなくてここにいるのかって思うでしょ?
あの日、なぜか知らないけど、急に 『歯医者に行ってみようかしら〜』 と思ったの。でも、別に歯は痛くなかったのよ。それなのに、何とな〜く行ってみようと思って、土砂災害直前の10/15の昼、久しぶりに船で島外に出たの。
そして、土砂災害直後の10/16の昼に大島に帰って来たの、だから助かったのよ。 今からしてみれば、なぜあんな行動をとったのか、自分でも不思議なのよ。きっと、ご先祖様や神様が助けてくださったんでしょうね。 ご先祖様や神様から 『お前は、若いころにイタズラばかりしてきたから、もっと世のため・人のために尽くして、罪滅ぼしをしてから、あの世に行かなきゃね!』 って思われたから、私は生き残ったんでしょうね(笑)
(伊豆大島に)帰って来た時は、最初驚いたわ。自宅も町中も土砂がすごくて…(中略)…そんな状態だったから、隣町のかたや島外のかたが来てこの光景を見ると、私たちをすごく気遣ってくださるんですよ。確かに大変だったこともあるけど、振り返ってみれば “嫌だったこと” だけじゃなくて “良かったこと” もあったの。そういう話をすると、取材で来たかたから「え?良かったことって何ですか?」って聞かれるんだけど、一番良かったことは “いろんな人から支えられたこと” なんです。
私は最初 “ボランティアさん” と聞くと、 “作業する人” というイメージだったけど、実際はそれだけじゃなかったのよ...
例えばね… ○土砂の入った部屋の掃除をお願いしたら、私が自分で掃除する以上にきていにしてくれた。 ○ 嫌なことがあって冷めた表情をしていたら、作業中でも作業の手を止めて私を気遣ってくれて、いろんな愚痴を聞いてくれて心がスッキリした。 …こういった形で、ボランティアさんは、私の気持ちの面まで支援してくださったの。しかも後から聞いたら、それ(気持ちの支援)に関しては、誰かにお願いされたんじゃなくて、ボランティアさんが自発的にやってくれていたの。だから、なおさらありがたくて…。
私の中のボランティアさんに対するイメージは、“作業する人” から “心の支えになる人” に変わったの!家の土砂がある程度片付いてきたので、年明けにはボランティアさんたちが自主的に企画して、餅つきをしてくれたの。
その光景を見ながら、ふと考えたの。 『こういう人たちの御恩に報いるためにはどうしたらいいかな?』 って。そして、私なりに思った報い方は…
『私がいつでも笑顔で、元気に、今を生きること』
ボランティアで来てくださった方たちが、いつの日か、何かしらの縁で再び大島の地を訪れた時には、ぜひこの家に遊びに来てほしいの。その時に、お茶を出して、お菓子を出して、少しでも恩返しができればと思うんですね。 だから私は、ボランティアさんたちに恩返しするためにも、あの世へ行かずに、元気に生きていこうと思ってるんです!
――――【 以上、お母さんの話 】――――