先日、UPeaceに参加したメンバーの体験談です。
現地の作業後に銭湯へ行った時の、ある“おばあさんとの出会い”について話してくれました。
「私が銭湯から出て休憩場所で休んでいた時、椅子に1人で座り、ぼーっとされているおばあさんがいました。とても悲しい目をされているように感じて、気になりました。私は話しかけて良いものか迷いましたが、20分以上もずっとボーっとされていたので、話しかけずにはいられなくなりました。...」
最初は、どういう言葉をかけたらいいのか悩みながらも、銭湯の話題から切り出して約10分程度でしたが、そのおばあさんと話をしたようです。
「震災当時のことや、震災後から1人でいることが怖くなったということ、震災からの2年間はとても長く辛かったことなどを話してくださいました。その中でも一番印象に残っている言葉は、
『町の様子は一見復興してるように見えるけど心は全く復興してない』
ハッキリ“全く”と言われてました。 私はその時、この方を抱きしめたい、少しでも支えになる言葉をかけたい、助けになりたいと強く思いました。...」
そう思った時、おばあさんはもう、時計を見て立ち上がり、帰り始めました。何か言葉をかけようとしたけれど、歩きながら、せいぜい一言二言程度しか声をかけられませんでした。帰っていくおばあさんの後ろ姿は、話しかける前と同じ、悲しい様子のままだったようです。...
「二年経っても心は全く復興してない。
それが、たった10分程度の会話で何とかしてあげられるわけではない...
そんなことは分かってます。
分かってるんだけど、それでも何かをしてあげたかった。
たった一言でいいから、心を支える言葉をかけたかった。
でも、どんな言葉がいいのか分からなかった。
結局最後は、当たり障りのない言葉を選んでしまいました。
でもその言葉に、精いっぱいの思いを込めたんです。...」
翌日、銭湯のおばあさんとの出会いを振り返っていると、気付いたことがあったようです。
「おばあさんとの出会いを振り返っている時に、ハッとさせられたことがあります。
おばあさんに対して湧いてきた気持ちは、実は、私が思う以上に神様が思い、私が望む以上に神様が望んでいることだったと気付いたんです。
私は、心が復興してない人が一人でもいたら、笑顔になるまで愛したい…
がれきが少しでも残っていたら、ひとつ残らず拾いたい…
子供が外で遊べないなら、遊べる場所をプレゼントしたい…
何かあればすぐ飛んで行って、少しでも日本中の『家族』の支えになりたい…と、強く感じました。
しかし、神様はもっと強く思われていたんです。」
4日間のボランティア活動が終わりました。
東京に戻って反省会をした時です。
「神様は、おばあさんに対して愛したいと強く願われていました。でも、おばあさんに対してだけではなく、神様は私に対しても人生20年間、ずっと同じ思いで見つめていたのだと気付きました。
でも神様には肉身がありません。
これからは私が神様の手となり足となって言葉を発していきたいと思いました。」