震災当時の過酷さを振り返る

あるボランティアチームのリーダーの方から、被災地に来た当初の印象的な話を聞きました。

以下、ボランティアリーダーの話

 

——-【 震災直後 】——-

震災後、最初は被災地に物資支援をしていましたが、 「現地は何が不足しているのか?」 いまいち分からなかったので、 「では、一度行って見よう!」 という話になり、当時一緒に物資支援をしていた仲間と一緒に被災地へ行きました。

 

——-【 震災から二週間後 】——-

現地に着くと、その光景の悲惨さに驚きました。最初は現地視察だけの予定でしたが、地元の人たちが必死にがれきを片付けているのを見たら 「これは手伝わなきゃ」 と思って、なんとなく一緒にやり始めました。                     すると、遠くにいたお母さんが自分を呼びました。

「ちょっと、そこのお兄さ〜ん!こっち手伝って〜!」

小走りに行って見ると、

「お兄さん、あれ、降ろしてくれない?」

お母さんが指した方を見ると、電柱の上に何かが引っかかっていた。 よく見たら、それは、すでに息絶えた“人”でした。その瞬間、すごく怖くなりました。足の震えが止まらなかったです。

「何とか降ろしてくれないかなぁ〜。お兄さん、力持ちでしょ?」

何とか力になりたかった。                  でも、勇気が出なかった。                 結局、一歩も動けなかった。                これが、私にとっての、初めての被災地ボランティアでした。

 

——-【 震災から数ヶ月後 】——-

「皆さん、本日は私たちのよさこいを見に来てくれて、ありがとうございま〜す!」

現地の方たちを元気付けようと、私が活動してる町に、よさこいのチームが公演に来てくれたのです。

「では、最初にお見せするのは、皆さんも多分、聞いたこがあるであろう曲です! 皆さん、“ソーラン!ソーラン!” というフレーズは、どこかで聞いたことがありますよね。それです!  では、いきます...」

会場が “待ってました” とばかりに盛り上がり始めたので、私も現地の方と一緒に盛り上げ、公演がスタートしました。     すると、急に後ろの方から “トントン” と肩をたたかれて、小言で言われました。

「ちょっと、こっち来てください」

何かな〜?と思って行って見ると、いきなり言われました。

「お取込み中すいません。ちょっと、遺体の身元確認お願いします!」

「あ、はいはい。分かりました。」             何件かやりました。

「いや〜、助かりました。では、以上ですね。ありがとうございました。」

「あ、いえいえ。」                     再び、よさこい会場に戻りました。

「あれ〜?どこに行ってたの?かなり盛り上がってたんだよ。」 と地元のお父さん。

「いや〜、ちょっとトイレが長くなってしまって。あら?もう結構進んじゃいましたね〜。」                何も無かったかのように戻り、地元の方に混ざって盛り上げました。 不思議な感覚でした。よさこいで盛り上がったら抜けて、遺体の身元確認をしたら、またよさこいで盛り上がる。     この極端過ぎる環境の変化にも、いつの間にか慣れていました。

 

——-【 震災から二年半後 】——-

今、思い起こしてみれば、この出来事が印象的でしたね。   最初は遺体を前にするとカナヅチだった自分が、気付いたら、当たり前のように身元確認してましたね。           “慣れる” ってすごいですね。別に、悪いことじゃないんでしょうが、良いことでもないような気がしました。         震災の二ヶ月後、わざと罪を犯して捕まった自衛官のニュースが話題になりました。なぜ罪を犯したのか聞くと、こう答えたそうです。

「罪を犯して捕まれば、もう、被災地に行かなくて済むからだよ…」

なぜ、そこまでするのか?初めて聞いた当時は、全く理解できませんでした。でも、今なら…何となくですが…分かる気がするんです!その気持ちが。だから、地元に帰りたくても帰れない …のかもしれませんね。