ある依頼者から聞いた話。
3.11の時に家にいた。警報が鳴った。家族と一緒に逃げた。車ではダメで走って逃げた。津波が迫って来た。ギリギリだった。何とか逃げ切った。助かった。安心した...。
それから半年。振り返ってみると、この半年間、耳から離れない言葉がある。あの3.11の時、津波から走って逃げた時に、ふと横の家を見た。すると窓から「助けてくれ」と叫んでいるおじさんが目に入った。でも私は逃げた。あの時おじさんを助けていたら、間違いなく私自身も助からなかった。だから逃げるしかなかった、仕方がなかった。あの時の私の状況下では助けられなかった、それは分かっている。十分分かっている。でも、今でも耳から離れない、あの時のおじさんの“助けてくれ”。
改めて振り返れば、あの言葉に縛られていた半年間だったのかもしれない...。