ボランティアが人生の新たな扉を開いた【後編】

あるNPOのリーダーが、被災地ボランティアの経験を通じて、生き方が大きく変わったという話です。

この方は2011年4月から2012年3月までの1年間、被災地ボランティアに取り組みました。その後、地元の大阪に帰ったのですが、被災地を支援し続けたい思いが強く、大阪から被災地を支援する決心をされました。

 

≪前編の続き≫

「最初はもちろん、考え込むことも多かったですよ。仕事をやらずに被災地支援に集中しようと思ったわけですからね。以前の仕事をしてた時よりも貧乏になるのは目に見えてました。明らかに金儲けはできない。最悪、自分が生活する最低限のお金も入ってこない可能性がある。」

被災地を支援したい思いと、最低限の生活資金は稼いでおきたい思い。この二つを同時に実現する方法、それがNPOを立ち上げることでした。その手続きを進める一方、被災地をいかに支援するかを考えていったそうです。

「今までと同じ支援を続けるだけではダメだ…それなら、東北に住んでいる人の方が貢献している。でも、今自分は東北ではなく大阪にいる。…それなら、逆に考えてみよう。大阪だからできること。大阪でなければできないこと。きっとあるはずだ…」

目先のことだけ考えるならば、東北の支援を続ければいい。しかし、メディアでも報道されているように、近い将来またどこかで大きな災害が起こるだろう。東北では“教訓”を今後に生かそうと、次の大災害の備えをする取り組みもある。しかし、その意識や取組みは、東北から離れれば離れるほど弱くなっている。

「それだ!と思いました。被災地の支援と同時並行で、“関西における災害のための備え”をしようと思ったんですよ。それこそ、東北から離れた場所であればある程、やる価値があると思いましたからね。」

“被災地を支援したい”という『思い』が、“東北の支援を継続、NPOを作る、次の災害の備え”という『イメージ』になり、具体的な『形』になり始めたのです。

東北の支援は…

「定期的に被災地に行ってますよ。その時に、関西からの支援物資を届けたり、現地のボランティアチームの活動を手伝ったりしてます。有り難いことに、定期的に被災地に行くことが、自分のモチベーションを上げてくれたんですよ。」

NPOを作るのは…

「今もやってますが、詳細な書類申請が必要なので時間と手間はかかりますね。でも、やるべきことは明確なので、2ヵ月後には認定されそうです。そうしたら、改めてスタートしようと思ってますよ。」

『次の災害のための備え』とは…

「災害時の備えと言った時、誰しも思い浮かぶのは防災グッズ。しかし、一般家庭や会社、公共施設に防災グッズの備えはあるのか?というと疑問を持つ人が多かったんです。そこでまず、備えがあるのか調べて、無ければ何が必要か考えていきました。“備蓄量が多い程、廃棄になった時の損害が大きく、買い直すコストもかかる”、”地域の小・中・高校の全てを個人で支援するのは限界がある”…考えた末、防災グッズの備蓄に関する案内や会議、呼びかけなどの啓蒙活動から始めることにしました。」

これは一つの例で、それ以外にも様々な取り組みを展開しているそうです。今後の取り組みの話から将来の話になり、夢の話になりました。

まず、小さな夢は…

「NPOを5年間、まずは続けることですね。」

大きな夢は…

「カンボジアや貧しい国に小学校を作りたいんですよ。または、そういうことをやる人の手伝いがしたいですね。世界には、勉強したくてもできない子供がたくさんいるじゃないですか。そんな子供たちに、教育を受けさせてあげたいんですよ。」

しかし、この夢は“手段”であって“ゴール”ではありません。

夢を形にしたその先に、成し遂げたい『志』がありました…

「いろいろな地域に学校を建て、世界中の子供たちが学校に通えるようになる。

 その後、ようやく達成されるゴール。

 それは… “世界の偏差値を『1』上げる”

 つまり、ほんのちょっとだけ “世界を変える!”

 それは、おそらく目立たない “小さな変化”

 でも、間違いないのは… “不幸な人は今より減って、幸せな人は今より増える”

 それが、夢の中に潜む志ってやつですかね。

 考えるだけでワクワクしてくるんですよ。

 これが実現したら、すごいと思いませんか?」

この後も、いろいろな話になりました…

【以上】

この話を聞いた後は、感動とワクワク感と勇気を一気にもらったような感覚になりました。まるで、壮大な映画を見た後のような心境でした。

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