海沿いの地域でガレキ撤去をしました。石巻市でも田舎の方はガレキが残っている地域があります。
作業していると、メンバーの一人が
「ほっ、骨を見つけたんですけど…」
と言ってきました。
行ってみるとそこには長さ約20cm〜30cmの骨が3本ありました。最初は動物の骨かと思いました。しかし、形からして人間の骨でもおかしくないと思い、素人では判断がつかなかったので、警察官を呼ぶことにしました。
現場は街中から離れた場所だったため、到着まで1時間以上かかりました。
この1時間が、3時間位に感じました。
駆けつけた警察官に骨を見せました。
「あ、確かに骨ですね。これは、、、どこで見つけましたか?」
発見した現場を見てもらったうえで、何の骨か聞きました。
「外見を見ただけだと、断定はできませんね。可能性としては、人間のものより動物のものである可能性の方が高いです。ただ、人間の物である可能性もあるので、調べに回しますね。」
素人にも、動物のものか見分けれるか聞きました。
「それは、ちょっと難しいですね。」
この場はそれで終わりました。
結果的には後日、動物の骨だと分かりました。話によると、この時に我々がガレキ撤去をしていた地域は動物が多く住んでいるため、動物の骨が見つかることは頻繁にあるようでした。
後から振り返ってみれば、動物の骨を取りに来る5分のためだけに、往復3時間をかけて警察官に来てもらったことになります。なので、少し申し訳なさを感じたのですが、それに対して
「何か気になるものがあったら、些細なことでもいいので、ドンドン呼んで下さいね。」
と言われました。何気なく言われた言葉だったのですが、何故か私はその言葉に重みを感じて、その言葉がずっと心に残っていました。
話には出ませんでしたが、
「もしかしたら、この何気ない骨から、行方不明者の発見につながるかもしれませんから。」
そう言われているように感じました。
活動が終わって東京に戻って一息ついている時に、何気なく見ていたニュース記事の一部が目に留まりました。
「震災から1年半が経ち…行方不明者が約2800人…今でも親族が捜索中…」
あの時出会った警察官は、使命感だけで捜索していたのではなく、行方不明者の親族のような気持ちも持って捜索していたのだと分かりました。