自然災害の教え方

東日本大震災の被災地でボランティア活動をしている中に知り合った人から話を聞きました。普段は関東で小学校の教員をしている人でした。

私が勤めている地域では以前、道徳の授業を真面目に聞かない児童が多くて道徳教材に悩んでいた時期があります。いい教材が少ない上、教える内容も不明確だったので、授業そのものが軽視されていき、授業数も減少傾向にありました。

そんなある時、東日本大震災関連の題材を取り上げてみました。すると、普段は横を向いてしまう児童たちも前を向き、真剣な表情になりました。それまでの道徳の授業風景と比べて、教室内の雰囲気がガラッと変わったので、教員である私が逆に驚きました。

児童たちの声を聞いてみると、自然災害の怖さや辛さを感じていただけではありませんでした。家族を亡くした人が、災害を乗り越えて頑張ろうと努力する姿。家を流されてしまった人たちが、わずかな食料を互いに分け合っている姿。それらを見ながら、児童たちがそれぞれ、何かを感じ取っているように見えました。

2011年は “今年の漢字” の応募総数が過去最高になった年でした。多くの人の注目を集めた中で選ばれた漢字は、3位「震」、2位「災」1位「絆」でした。被災地の光景をテレビで見たり、津波が来た時の映像をネットやyou tubeで見たり…。メディアを通して得られる情報は、一般的に2位や3位の言葉に偏りがちです。

そんな中で最近、小学生の道徳向けに出版されているのが、この1位の言葉である “絆” に焦点を当てた教材です。児童たちが震災関連のことを勉強した時に感じ取っていたモノも、この “絆” だったように思います。

インターネット社会の波は小学生たちにも広がり、スマホを持つ児童も増えています。仮に、どこかで自然災害が発生した時、「地震で多くの建物が壊れた」とか「津波で多くの人が犠牲になった」という目に見える情報は、ネットを見れば分かります。しかし、その背後にある 人々の努力する姿 助け合う姿 などの目に見えにくい情報は、ネットを見ても分かりにくいです。

だからこそ、自然災害について教える時は、その中に潜む “絆” までを含めて教えるということを、忘れてはいけないと思います。

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