“復興”という言葉の意味

小さな公園で雑草取りをした時のことです。依頼者さんに聞いたら、その公園のある地域一帯は、3.11の時に2メートル位の津波が来たのだと教えてくれました。

しかし、その公園は敷地内の四方にお花が飾られていてきれいでした。地面の土はきれいでヘドロも無く、遊具も新しくて、私たちが作業した時は子供たちがそこで元気にサッカーや鬼ごっこをして遊んでいました。

ここに津波が来たと言われても想像ができなかったので、ある意味驚きました。この公園は3.11後にいろんな人たちの手が加えられていました。私がざっくり聞いただけでも、以下のことをやってきたのだと分かりました…

1.車、船、木、工業機材などの大きながれきを撤去
2.地面に溜まったヘドロを撤去
3.公園のフェンス、木、遊具に付着したゴミの撤去
4.地面に残った小さながれきやガラスの破片を撤去
5.汚れた遊具の掃除とペンキ塗り
6.公園の敷地一面に新しい土を入れる
7.手作りの看板、お花畑用の柵を作って取り付ける
8.柵で囲んだ場所に栄養のある土をまいて耕す
9.支援物資で来たお花を植える
10.プランター用の器を作って磨いてニスを塗る
11.器に土とお花を植えて、公園の敷地内を飾る
12.定期的な雑草取り

私たちがやった作業は最低でも、この12番目の作業でした。たったひとつの“小さな公園”あまり目立ちもしないし、どこにでもありそうな公園なのですが、実はそこは、ボランティアさんたちが約1年間かけて汗を流した結晶でした。

そのことを知り、その日の雑草取りの作業が終わった後に、改めて小さな公園を見た時、感動というか、慕わしさのようなものが湧いてきて、まるで“大きな公園”に来たかのような清々しい気持ちになりました。「“復興”ってこういうことかもしれない」と思いました。

もし、相手が自分の家族なら…

最近は、作業する時に依頼者さんが立ち合わないことが多いです。また、細かい作業や地味な作業も多いです。なので、作業するボランティアさんたちは、

「この作業って、やってもやらなくても、あまり変わらないことなんじゃないかな〜?」
「やっても、依頼者さんの為になってるのかな〜?」

と思う方も多いようです。なので、そんな疑問が生じた時の対処法を、現地で1年間ボランティアをしているリーダーの方が話してくれました。

「そういう時は、こう考えてみて下さい。もし、依頼者さんが自分の家族だったら、自分は相手に対してどうしたいですか?」
「もし、依頼者さんが自分だったら、どうしてくれたら自分が嬉しくなりますか?」

このスタッフさんも、一時期自分にそう問いかけていたようです。そして、この方がたどり着いた考えを話してくれました。

「そう考えたら、別に依頼者さんに会えなくたって、細かい作業ばかりだって、そんなことは関係無くなる、迷わなくなるよ。自分が好きでやってることになる。つまり、“趣味”に近い感覚だね。だから、もし依頼者さんがそこにいて喜んでくれたら、それは自分にとって、+αの喜びになる。つまり、“趣味をしただけで相手も喜んでくれた!”っていうイメージだね。」

スタッフさんが、とても生き生きと語られていたのが印象的でした。